ロシア革命前のロシアは、人口の7割以上が農民であった農業国だり、
工場プロレタリアートは都市部で増え始めている程度でした。
マルクスが資本論のモデルにしたイギリスとは産業の発展段階が違いました。

そのころ、ロシア・マルクス主義の父といわれたプレハーノフは
二段階革命論に立ってロシアの資本主義化は不可避であると論じることで
資本主義なしに農民による共産主義革命(一段階革命)を唱えて帝政ロシアに
ゲリラ的武力闘争を仕掛けていたナロードニキと論争したと言われています。

Marxism and "Really Existing Socialism", (Harwood Academic Publishers, 1986)
によれば、{
“A premature socialist revolution could lead to a political monster similar to
the ancient Chinese and Peruvian empires, i.e. to a renewal of tsarist despotism
with a communist lining.” }
「早産の社会主義革命は、古代中国やペルビアン帝国のような政治的なモンスター、
すなわち共産主義の裏地をまとった皇帝の専制政治に繋がる恐れがある。」
とプレハーノフはロシア革命以前に述べていたといいます。

この二段階革命論は、当時のロシアのマルクス主義者たち(のちのメンシェヴィキと
ボリシェヴィキの大半)にとっての自明な共通理解だったと言われています。

ザスーリチという人です。この人はもともとナロードニキでマルクスに手紙を書いています。
そこで、ロシアのマルクス主義者たちはマルクスが二段階革命論を唱えているというが、
本当ですか、とマルクスに直接尋ねたわけです。