本願ぼこり

悪人正機の意味を誤解して「悪人が救われるというなら、
積極的に悪事を為そう」という行動に出る者が現れた。
これを「本願ぼこり」と言う。
親鸞はこの事態を憂慮して「くすりあればとて毒をこのむべからず」と戒めている。

ただし今度はこの訓戒が逆に行き過ぎて、
例えば悪行をなした者は念仏道場への立ち入りを禁止するなどの問題が起きた事を、
唯円は『歎異抄』において批判している。




悪人正機

悪人正機(あくにんしょうき)は、浄土真宗の教義の中で重要な意味を持つ思想で、
「“悪人”こそが阿弥陀仏の本願(他力本願)による救済の主正の根機である」
という意味である。

阿弥陀仏が救済したい対象は、衆生である。
すべての衆生は、末法濁世を生きる煩悩具足の凡夫たる「悪人」である。
よって自分は「悪人」であると目覚させられた者こそ、
阿弥陀仏の救済の対象であることを知りえるという意である。