“本書を執筆するきっかけとなったのは、五年前のある美しい体験である。
 夏も終わりに近いある午後、海辺に腰をおろし寄せくる波を見つめながら、わたしは自分の呼吸のリズムを感じていた。
 と、その時、とりまくすべてが壮大なコズミック・ダンスを舞っていることに気がついた。

 まわりの砂や岩、海や空気が振動する分子あるいは原子で構成されていること。
 その分子や原子が粒子からなりたち、たがいに他の粒子を生成、消滅させつつ相互作用していること。[略]
 また、地球の大気には「宇宙線」(コズミック・レイ)が絶えず降り注いでいて、
 高エネルギ−粒子である宇宙線が大気に突入する時に、衝突を無数に繰り返している…”

― フリッチョフ・カプラ 『タオ自然学』 (1979)