例えば、教会や神社仏閣などの宗教施設は、ご利益を売り物にしている。
そのような商売は、無宗教の人間にとってみれば、金を支払うことと
引き換えにご利益が得られるという根拠がないのだから不合理だ。
それでも、宗教団体や信者は、実際にご利益があったと主張することを
やめないだろう。そこで、合理的に第三者に判定させる仕組み作りを
して、願掛けとそのための出費に対して得られたご利益を統計的に処理
して結果を公表することを義務付けたとしよう。すると、今度は、
宗教団体と第三者の評価機関の間で裏取引が行われて、評価機関に
金を多く上納する宗教団体に有利な統計処理が行われるという不合理が
生じる。そのような不正を防止するために公的な監督機関を創設すれば、
今度は、その公的機関と民間の評価機関の間で天下りの便宜を図るなど
の結託が行われることになり、さらに不合理が生じる。