マキャヴェリズムの理解が大きく間違っていないか?
マキャヴェッリの著作の重要性は、統治権力と人々の間に既に対等な
関係が実現しているかのような幻想に基づいてではなく、統治権力によって
支配されている関係を認めたうえで、支配されている臣民の側が、
統治がどう行われるべきかを提言し、その実現を求めることだろう。

既にすべての人々の間に対等な関係が既に実現しているなら、
そもそも統治権力のあり方について論じる意味はない。いわゆる
リベラルが胡散臭いのは、あたかも人々の平等という理想が標準として
実現していて、政治経済の現状において、例外的な逸脱が生じている
かのように正義を主張するからだ。服従させられている側が理想の実現
のために現状の改善を求めることと、現実には服従しているのに、
あたかも統治権力を握っているかのように正義を実現しようとする
のでは大きく異なる。後者は、必然的に偽善にしかならず、しかも、
服従している事実を隠ぺいすることで、暗黙に権力に阿り、
統治権力の権限を強化することにんしかならない。