以下、川越敏司 図でわかる経済学 2017
130-1頁より

《マルサス的な人口問題(絶対的過剰人口)が発生するよる前の段階で、別種の人口問題が
発生すると論じたのは、カール・マルクスです。マルクスは技術が進歩すると以前よりも少ない
人数で生産が可能になるので、経済成長に伴い失業者が増え、貧困にあえぐようになると論じ
ました。マルクスはこれを、相対的過剰人口の問題と呼びました。》

参考:
《…機械の導入とともに 、雇い主と雇われ人 、資本家と労働者の区別が始まる 。機械は 、
労働者を細かい分業による愚鈍化から救い出してくれるはずであったが 、逆に労働者を一段
と深刻な状態へ追いこむ 。労働者は人間らしさとともに自由を失い 、たんなる道具のレベル
に堕落させられる 。幸せは主人にとって増大し 、下っ端にとっては不幸が増大する 。
カ ーストの区別ができあがり 、恐ろしいひとつの傾向が鮮明となる 。すなわち 、人間の数を
増やしながら 、人間がいなくてもやっていけるようにしたいという傾向である 。こうして全体
の苦しみがさらにつのる 。貧困はすでに分業によって予告されていたが 、ここにいたって
公式に世界全体におよぶ 。このときから貧困が社会の心髄となり神経となる 。》
プルードン『貧困の哲学』下より