議論が下らない。人文学で「微分」とか隠喩として使うことが有効であるか
どうか、それだけの問題。「人は人に対して狼である」という隠喩は、
動物学者に言わせれば、狼の生態についての無理解に基づいていること
になるだろう。しかし、その表現が未だに有効性を有し得るとすれば、
それは、「人と人の関係」を「人と狼の関係」、もしくは「狼と狼の関係」
になぞらえて捉えることが有効だからではなく、歴史的な議論として
誰のどのような議論が参照されているのかをその表現だけによって
想起されることができるからだ。