学校教育の場で子どもたちに教えるべきことは、「君たちは君たちの言語の虜囚である」ということです。君たちは自由に思考し、自由に感じ、自由に言葉を操っているつもりでいるかも知れないけれど、君たちは実は君たちが閉じ込められている集団的な「言葉の檻」から出ることができないでいるのだ。

君たちの語彙も、音韻も、ストックフレーズも、君たちが使うメタファーもレトリックも、すべて「既製品」なのだ。君たちは与えられた言語の中で感じ、考え、
語ることを強いられている。でも、君たちの中には自分が「檻」の中にいることを薄々感づいていて、もっと清涼な空気を吸いたい、もっと自由に語りたい、もっと自由に考えたいという願いを抱いている人がいると思う。

その人たちに教えたい。「母語の檻」から出るには二つの方法があるよ。一つは
外国語を学ぶこと、一つは母語を共にする死者たちへの回路をみつけること。
これはとても大切な教えだと思います。