Makoto Sasaki
イソノミアへの言及はどうですか
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Pierre Riviere
いやそもそも柄谷行人が「世界共和国」というタイトルの岩波新書を突然発表したのは
2006年のことだったんだけどさ。そのときこの本のタイトルに含まれる「共和国」という
言葉に、はぁ?と思う人は実は多かったんじゃないのかと思うのよw 
今どき、共和国って、どういう意味?と。しかし柄谷が共和国という概念を使ったそもそも
元ネタが、ハンナ・アーレントの「革命について」最終章の結論部分に出てくるんじゃないか
と思ったのね。アーレントがそこで出しているコンセプトは「少共和国」という言葉で、
それは基本的にアメリカ合衆国創設時にあったタウンシップ(郡区)のことを指している。
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Pierre Riviere
柄谷行人がアーレントの「革命について」ともっと大昔の本であるヘロドトスの「歴史」に
依拠することによってイソノミアの概念について初めて説明することになるのは2013年の
「哲学の起源」においてだけど(発表は2012年の新潮誌上)もっと以前から元ネタの仕込み
として、既に柄谷が暗黙に依拠しようとしてるのがアーレントのテキストだったことは
示唆されていたのではないかということですよ。
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Pierre Riviere
しかし柄谷はアーレントの概念に従って自分の理論を説明しようとしているが、
厳密にアーレントのテキストに依拠すれば、むしろアーレントのロジックは完全に柄谷
がNAMでやった試みをすべて論破して否定してしまうものではないのか?
こういう疑惑が実は残るわけですよ。。。だから柄谷にとってはNAMの理論を論破されて
しまうのをむしろ先回りして避けるために、アーレントの概念を使っているのではないか?
こういう疑惑が残りますね。。。
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Pierre Riviere
柄谷にとって問題は、イソノミアのような都市国家にあった無支配の生活形態よりも、
むしろアメリカ創設時にあったタウンシップによって形成された、下から来る人民たちの
確実な権力の存在、その権力形態こそが、本当に興味ある対象だったのではないか?
そう思えてくるわけですよ。アーレントに謂わせれば、アメリカ革命で普通の人民たちが
連邦制の形をとって下から構成した権力の形態とは、フランス革命やロシア革命のよう
に、少数の扇動者や党が人民のマスな塊を駆り立てて奪取した暴力的な権力よりも、
より深く確実な権力であり、それだけが本当に永続化する権力の形態だったという洞察
をしているわけですよ。
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