養老孟司氏(85)
「彼の発言にはいろんな背景があると思いますが、ひとつは、社会は“順送り”だから仕方がないという感覚が消えてしまっているんですね。
今の若い人は、自分たちの世代ばかりが損をしているという感覚になっているんじゃないか。ウザくて邪魔な年寄りが大勢いるせいで、
若い人が割を食っていると思っている。でも実際は、世代間で順送りになっているんです。僕は、定年前にさっさと大学を辞めてしまいました。
大学ってのは、若い人が下に溜まっている場所なんです。「終活」をしている人も、子供に迷惑をかけたくないという思いがあるのでしょう。
これも順送りの考え方です。しかし、今は長い目で世の中を見ることができない人が増えた。今だけ、カネだけ、自分だけしか見えない。
そりゃ、“今”という断面で切ったら、不公平はいっぱいありますよ。しかし、長い目で見ると、結局は順送りになっているんだということが、
彼にはなかなか想像がつかないのだろうけど。彼の発言については、問題にする気も起きません。放っておけばいいと思います。
でも、世の中は順送りなんだという、このことだけは強調したいですね」

柄谷行人氏(81)
成田氏は中高生時代、柄谷氏が主宰する社会運動グループに参加していたことがある
「発言は知っていますが、事情がよくわからないんです。正直、興味もない。だから無責任なコメントはしません」
 
加藤諦三氏(85)
「こういう発言をするのは、心理的な成長に失敗した人です。現実の社会には、複雑な要素が絡んでいますが、
彼のように、過激で極端な見方をする人は、その“現実”と接していないんですよ。 彼の主張はあまりに極論ですが、
もしかすると経済学的には正しいのかもしれない。しかし、そこには『人類が幸せになっていく』という視点が抜け落ちています。
経済的な成功が、必ずしも人に幸せをもたらすものではないことは、1960年代にデイヴィッド・リースマンが論じています。
人間は本来、成長するに従って、徐々に視点が増えていくわけです。しかし、彼の視点はひとつしかないのです」