大澤真幸の『行為の代数学』という本は、スペンサー=ブラウンという20世紀イギリスの数学者が書いた奇妙な論理学書『形式の法則』に対するコメンタリーという体裁をとっている。
ところが、そもそも多くの数学者は、スペンサー=ブラウンは何ら新しい論理学上の業績をもたらした数学者ではないと断言し、軽蔑している。
そうすると、大澤は無価値とみなされている数学者の仕事に関するコメンタリーで博士論文を仕上げたことになる。