革新勢力というのは、長い長い間、「反対」することに慣れていた。なんでも反対していれば、それはそれで意義がある時代もあったのである。しかしそのうち、それではいかんという反省も起こってきて、今度は反対しないで積極的に賛成しようということになり、それでは与党とおんなじじゃないかという反批判が出てきて、全面的反対派は部分的賛成派を右翼日和見と呼び、その逆は左翼小児病と呼ばれ、最右翼から最左翼まで何段階にも分かれてけんかした。しまいにはだれがだれの右にいて、どいつがどいつの左にいるのか、中にいる連中にもわけがわからなくなった。
(小松左京)