第3世代通信規格(3G)対応の従来型携帯電話(ガラケー)の買い替えを装い、スマートフォンを不正に安く購入したとして、警視庁サイバー犯罪対策課は、さいたま市の無職、池田勝己容疑者(54)と、同居の内縁の妻(48)を詐欺容疑で逮捕した。捜査関係者への取材で判明した。逮捕は2日。3G回線からの買い替えの場合、スマホの購入代金が大幅に値引きされることが狙われた。

 サイバー犯罪対策課は、2人の自宅からガラケー約50台と第4世代通信規格(4G)などに対応する「SIMカード」約1200枚を押収。3G用のSIMカードは入手困難なことから、2人は4G用のSIMカードを入れたガラケーを携帯電話販売店に持参し、3Gの契約者を装って不正に値引きさせていたとみられる。同課は、2人が2019年12月~21年9月に本来は計約500万円するiPhone(アイフォーン)12など計64台を不当に安い価格で詐取し、中古品買い取り店などで売却して約300万円の利益を得ていたとみている。

 逮捕容疑は21年3月30~31日、埼玉県の携帯電話販売店で、池田容疑者の契約者情報が記録された4G用のSIMカードなどを入れた3台のガラケーを店員に示した上、これらが3G契約だと偽って5Gのスマホに買い替え、販売価格計約33万円の「アイフォーン12」3台を約2万4000円でだまし取ったとしている。2人は黙秘している。

 サイバー犯罪対策課によると、2人は3台のガラケーを店員に見せたが、店員らは回線の契約内容などを確認せずに買い替えに応じていた。同課は21年7月のサイバーパトロールで、池田容疑者のツイッターアカウントにこうした手口の解説が投稿されているのを発見し、捜査していた。

 携帯電話やスマートフォンの販売を巡っては、通信料金収入を原資に端末代を大幅値引きすることで顧客を囲い込む販売手法が一般化していたが、通信料金が高止まりしていたことから19年10月に電気通信事業法が改正され、通信契約とセットの端末の値引き上限が2万2000円(税込み)となった。ただし、携帯電話各社が3Gサービスを順次終了する予定であることから、3Gからの買い替えの場合は、通信料へのキャッシュバックなどはできないものの、端末代は0円での販売を含む大幅な値引きが認められている。