ぼくは結構長い事免許を持っておらず、32歳になった時に仕事を辞めて暇があったから免許合宿に行って免許を取る事にした
一人鬼教官がいると聞きまぁ当たらないからいいか、と思ってたら、その教官に一度だけ当たった日があった。
ややコワモテのおじさまって感じで、こりゃ若い子はビビるわなって雰囲気の人だった
ぼくの着てるTシャツを見て

教「君はあれか、パンクとか好きなのか」とか言い始めた。
「パンク好きですし、バンドもやってます。都内でライブしてたりもしてます」なんて返すと
教「東京か?、俺は昔高田馬場に住んでた事があってな」
教「君は30歳くらいだっけ?そのくらいの年齢じゃ知らないよな、GAUZE」
なんて言ってた。ん?GAUZE?いやいやよく知ってるわ!と思い、

「GAUZE知ってますよ、大好きなバンドです」と伝える。すると、
教「俺はさー、その昔GAUZEにいたカトーイチローと仲良かったんだよ、知ってる?コブラツイスターズの加藤」
「知ってます、イチローさんがGAUZEにいて、コブラツイスターズになったのもC-BAやってたのも知ってます」

教「ほー、知ってんだなー若いのに。俺は加藤と仲が良かったからさ」
みたいな会話をした。
教「まぁ向こうはもう覚えちゃいないんだろうけどさ、GAUZEのメンバーとはよく高田馬場で飲んだりしてたんだよ。
若い子でロック好きとか言ってる子もよく教習にくるけど、流行物のロックでもないようなのをロックって言ってるような子ばっかりでな。
君みたいにちゃんと知ってる子が来たのは初めてだからな、こういう話を教習生にするのは初めてだな」

なんて言ってて、全然この人怖い教官じゃないじゃん、音楽やりたくて東京を目指したクチだったらしいけど、
夢破れというか、現実を見る事に切り替えて地元に戻り教習所で働くようになったらしい
だからコブラツイスターズが売れた時には、自分ももしかしたらあそこにいたのかななんて思ったそうで。
今は趣味仲間でロックバンドを結成して、地元で細々と趣味程度ではやってるんだ、なんて事も言ってた。
もっと色んな話をしてみたかったけど、その教官に当たったのは、後にも先にもその日のその時間限りだった。