どうも各人のいうSDRという言葉に微妙な齟齬があるようだ。
ソフトウェア無線というアーキテクチャ(基本構造)、SDRと称するハードウェア機器と、それらを制御するコンソールも含めたSDRシステム。

そもそもSDRアーキテクチャは従来のスーパーヘテロダインの対義概念ではない。
SDRはダイレクトサンプリング、ダイレクトコンバージョン、ヘテロダイン等の各方式で実装され、製品化されたスタンドアロン無線機の全体は
スーパーヘテロダイン構成になっているものもある。いいとこどりをして優秀なSDRシステムが実現できるなら、べつにフルデジタルでなくてもいいし、
ダイレクトサンプリングでもトリプルスーパーでも一向に構わない。メーカーによってはSDRであると公言していないプロダクトもある。

スタンドアロンSDRの多くは、ユーザーが内部のハードとソフトを切り離して好きなように組み替えたりすることは出来ないが、PC側の
コンソールソフトを併用するタイプのSDRは、コンソール側で様々な機能を実装することができる。
一部のSDRハードには、ネイティブのコンソールソフトが用意されているものもあるが、フリーのコンソールソフトにはそれらを凌駕する
機能を持つものもあり、同じフロントエンドのSDRハードがいかようにも進化しうる。その気になれば仮想VFOをいくつでも増やせるし、
サーチやスキャンの速度を10000ch/s以上にまで容易に高速化できる。

SDRハードの構成要素のFPGAやDSPも柔軟なリコンフィギュアビリティを持つので、新規の検波モードを追加実装したり、新参の
変調方式にも対応できる。旧来の物理LCR素子やワイヤやプロセッサをインストールすることなく、ソフトウェアで実現することが
出来るので、例えば同期検波ひとつでも様々なパフォーマンスが出現することになる。