>>59
下京女の最初の登場シーン。
真っ黒な女笠に泥眼、白い唐織。
そこにいるだけで不吉さが辺りに漂うような禍々しさで不気味でした。
心霊写真を見たようなリアルな不気味さ。
能面を見慣れなかった頃に持っていた、能面への畏怖心を思い出しました。

そして、下京女が、最初は、相手への恨み100パーセントではなく
「あんなアホに惚れた自分も悪かった・・・」など自分への後悔の念や
哀しみが感じられたのに、「言うより早く色変わり…」のあたりから、
徐々に怒りが噴出してきて、囃子と地謡の効果で舞台の空気まで変わって
みえてきたこと。

あと、橋姫の面も初めて見たのですが、般若より生々しくて恐ろしかった。
一畳台の上の鬘とかも、生々しかったですね。
退屈しない能でした。