裕天吉
回を追うごとに、これでもかこれでもかと巾着切りから改心した
主人公の運命が流転していく。「旅ゆけば〜」の名調子で一世
風靡した虎造が、『次郎長伝』から離れて新たな大ネタとして
取り組んだのが、全20話の予定でスタートした『祐天吉松』の
ラジオ用の録音だった。16話録った時点で虎造が倒れたため
未完に終わっているのは残念だが、たとえ途中から聞いても
闊達な節のよさは変わらず。解説にもある「軽快な、明るい感傷」
を堪能させてくれる。三味線が繰り出す合いの手、その絶妙な
間にもやられました。


未完なのね