http://megalodon.jp/2013-0907-1628-54/www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013090702000219.html
再び吉祥寺で「一歩」 劇団前進座 地元に新拠点
2013年9月7日 夕刊

歌舞伎や時代劇などを上演する劇団前進座が今秋、東京・吉祥寺(武蔵野市)に
新たな活動拠点となる「劇団前進座ビル」を開設する。
もともとの本拠地だった吉祥寺の「前進座劇場」をことし一月に閉館した後、
移転先を探したが、同じ街に落ち着いた。背景には地域の人たちとの強い絆があった。 
(小田克也)

劇団が新拠点として購入した鉄筋六階建ての新築ビルは、JR吉祥寺駅から徒歩一分程度。
閉館した「前進座劇場」からも約十分と近い。
劇場機能はないが、けいこ場、事務所、養成所などを備える。
九月後半に事務所を開き、十月にけいこ場を披露する。公演は当面、他の劇場で開催する。

旧劇場閉館後の移転先をめぐっては「地価が安いところを探そうかとか、いろいろ意見が出た」(藤川矢之輔幹事長)。
ある劇団関係者も「都心からもっと離れようとか、議論を重ねた」と話す。
だが、吉祥寺に決めたのは、この地で活動を始めた一九三七年以来の地域との関係を重視したためだ。

井ノ頭通り沿いの旧劇場周辺には、熱心な前進座ファンが多い。
中村梅之助代表が散髪に訪れる理容店「カットスタジオ フジ」の
鈴木茂夫さん(73)は、ほぼすべての公演を見ており
「芸が上手。一生懸命けいこされているのが分かる」と魅力を語る。