【特別手記】寺島しのぶ、悲願の歌舞伎座での葛藤と幸福 父・菊五郎の楽屋で起きたミラクル
10/8(日) 5:00 Yahoo!ニュース
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 10月の演劇界で一番、注目を集めているのは、悲願の歌舞伎座(東京・東銀座)への出演を果たした女優・寺島しのぶだろう。
「錦秋十月大歌舞伎」の昼の部「文七元結物語」(山田洋次脚本・演出)で、中村獅童と夫婦を演じている。人間国宝、尾上菊五郎を父に持ち、名門・音羽屋に生まれ育った。
数え切れないほど訪れながら、これまで立つことの叶わなかった劇場での舞台。いまどんな思いで出演しているのか。偽らざる心中を特別手記としてスポーツ報知に寄せた。

 【特別手記】

 手記は今年2回目になるのですが、再び登場させてもらってよろしいのでしょうか。5月「團菊祭」のときに息子(長男、尾上眞秀=まほろ)のとき以来になります。
「歌舞伎座」は、私にとってやはり、どこまでも特別な場所であることに変わりはありません。今回、山田監督や獅童さんを始め、私を受け入れてくださったことに感謝します。

 すでにご覧になった方々の中には、出演者の中で女性が一人だけ出ていることに少し違和感のようなものを覚えた人もいらっしゃるかもしれません。
ほとんど前例のない舞台ですので、自由にいろいろ感じ取っていただければと思います。

 今回、出演が決まってから、自分も予想もしなかったことに気づかされ、一時はうろたえもしました。
父が(主人公の)長兵衛を演じる『人情噺文七元結』を、幼い時から見てきて私の中に色濃く存在するため、今回新しい作品として受け入れることが容易ではなかったからです。