おばさんが親切心でやったことを松が高座から咎めた
客の誰もがおばさんは親切でやったことだと知っていたし、
とくに読みの邪魔をしてるふうでもなかった
ただ、おばさんが中腰でめくりをかえたのが気に入らなかったのか
松が咎めて、会場の空気が冷えた
梅湯のめくりのまま、松が読んでいたら、誰もが落ち着かないんだよ
誰かがなおしたらいいと誰もが思っていたはず
読み始めたら、めくりが違うと声もかけられない
そこで、おばさんがめくりをかえたのに、松が咎めた

あそこは咎めるべきではなかった
松はすみません、ありがとうございますとひと言言って、読み続けるべきだった
そうしたら誰もがいい気分で松の講談を聴けた

考え違いするんじゃない
講談の良さを広めようと思ったら
目の前の客からだ
俺はあの場にいてそう思ったね