(>>158のつづき)

事件直後、私は、亡くなった友人たちの通夜と葬儀を一つ一つまわり、
ご両親にも、(お詫びになど決してならない)お詫びをしてまわって
いたが、T君のご両親だけが、私の焼香を決して許されなかった。
(羽入氏は、私がT君の葬儀に無礼にも来なかった、と書いているが、
その理由の一つは、T君のご両親から弔問を拒絶されたからであり、
後日、T君のご自宅にも足を運んだが、お父上から「帰ってくれ」
と言われた。他のご両親は、きっと不愉快を押し殺してだったとは
思うが、私の弔問を何度か許してくれた。)

羽入氏が事態を上のように認識している、つまり、私のせいでT君
が死んだにもかかわらず、私がそれを隠していると認識しており、
その認識をT君のご両親も共有なさっているようだ、ということを、
私は周囲の人びとから仄聞した。

それゆえ、私は、自分自身の記憶の欠落を補うためにも、また、私が
嘘を言っているわけではないことを理解してもらうためにも、羽入氏
と直接、話をしようと思ったが、前述のとおり、彼は私と決して会お
うとしなかった。

(つづく)