(>>162のつづき)

羽入氏が私について書いていることは、決して事実無根ではなく、事件に
関する彼の理解と解釈も、一つの可能性として、私は引き受けなければな
らない。
そのような自分であるがゆえに、道理を外れているようにしか思えない羽
入氏の折原先生に対する「(反)批判」に対して、私自身はさらに何もで
きない。私のせいで、折原先生に不当な誹謗がさらに上塗りされているの
にかかわらず、私には「それは間違っている」と羽入氏に対して積極的に
反論することができない。──そういう自分の不甲斐なさに対して、私は
折原先生に対してお詫び申し上げた。

私にできるのは、出版元のミネルヴァ書房を介し、羽入氏に対して、「私
に対するあなたの考えと怒りを、あなたが公の場でぶちまけることに、私
は何も反対できないが、それを折原先生に対する批判の書でおこなうのは、
やめてもらえないか」と申し入れることぐらいではないかと思うのだが、
すでに問題の書物が公刊されてしまっている以上、そのような要請も無意
味かもしれない。私にできることは、何もない。

(つづく)