☆上野千鶴子氏は、吉本の共同幻想論に大きな影響を受けて、
昭和57年に雑誌『思想の科学』に“対幻想論”を発表します。
上野氏にとって、吉本の共同幻想論が画期的だったのは、“集団と個人”
という伝統的な二項対立図式に“対”という独立した第3項を自覚的に
持ち込んだ事でした。共同幻想と個人幻想というと、集団と個人とか、
国家と個人、と誰でも思いつくことであるのに対して、その2つの概念に
匹敵するだけのものとして対幻想が提示されていたのです。