平沢氏: 例えばメジャーなレコード会社で活動してたとしますよね。レコーディングが終わるとある日突然、出版会社
から契約書が届くんですよ。で、契約してくれと。契約条項にいろいろ書いてあるんですけど、契約書が送られて
来た時点で、JASRACにもう勝手に登録されているんです。

で、JASRACで集金されたお金は、この出版会社を通るだけで50%引かれて、アーティストへ戻るという構造が
あるんですね。出版会社は“プロモーションに努める”と言いますが、成果は保障せず、どんなプロモーション
をするのか何度説明を求めても、回答しないことがほとんどです。大きなセールスが期待できるアーティストに
ついては積極的に動きますが。

平沢氏: まず著作権というのは、何もしなくても法律で保護されているんです。
勘違いを起こしやすいのは、著作権管理団体が、著作権保護のために戦ってくれるのではないのか、という点です。
そもそも使用料を徴収している団体というのは、単に料金徴収団体ですので、トラブルが起こったときには
解決してくれません。私は何回もトラブルに巻き込まれていますが、ああそれは当事者同士で処理してください、
ということになるんですよ。つまり著作権は、第三者がガードしてくれているわけではないということですね

 著作権というのは以前のコラムにも書いたことがあるが、親告罪という性格の強い法律である。これは侵害された
本人からの訴えがあって、始めて罪に問うことができるわけで、権利者本人以外の第三者が訴えることはできない。

 ここで問題なのは、多くのミュージシャンがこの大事な著作権を、出版会社に譲渡してしまっていることである。
つまりミュージシャンが著作権侵害を発見しても、作った本人には著作権がなくなっているので、どうすることも
できない。これは侵害以前に、大変な問題だ。

 2005年3月、あのYMOが乱発する過去音源の発売に対して、ファンに謝罪するという事件が起こった。
これなどは、アルバムをリリースする権利、逆にリリースしない権利を、ミュージシャン本人が自由にできないという、
もっとも有名な例であろう。
引用元
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0606/12/news005.html