3. 音楽の試聴
音質を確認する為に簡単な試聴を行った。クラッシクを中心にピアノ曲、声楽曲、管弦楽等を
色々なビットレートで聴いてみた。
まず132kbpsでは明らかにATRAC3特有の色づけが感じられる。とくにピアノ曲においては
極端な言い方をするとスタンウェーが電子ピアノのような感じになる。ホールに拡がりそれが
徐々に減衰してゆく残響感や余韻の描写もMP3に比べると音の減衰が速く感じられ明らかに劣る。
POPSとくにロックなどになると、今度はプリエコーや独特のノイズ感がつきまとう。
この傾向はビットレートを352kbpsまで上げてもさほど改善されない。またビットレートに
よらずオリジナルやMP3にはないポップノイズが発生する。今回はエンコーダが試用版のため
105kbps以下のビットレートはテスト出来ていないので何とも言えないが少なくと音質に関し
ては132kbps以上ではMP3に匹敵するものは何もなかったというのが結論である。

4. まとめ
(1)正弦波および鋸歯状波を用いたオーディオ特性は全ての項目で同ビットレートのMP3より劣る。
(2) とくにヒトの耳に最も敏感な帯域における過渡的な信号に対し、圧縮による信号の欠落と雑音の増大が著しい。
(3) 実際の音楽の試聴でも、楽音に独特色づけと雑音の増加が感じられ、測定結果を裏付ける結果となった。