http://www.nikkei.com/article/DGXMZO83939010U5A300C1000000/?dg=1

ソニー、テレビ事業に光 米国で見た再生の現場
2015/3/10 7:00

 10年連続の赤字だったソニーのテレビ事業がようやくトンネルを脱し、2015年3月期に黒字転換する見通しとなった。
リストラの連続による縮小均衡にすぎないのか、それとも持続可能な成長なのか、周囲はいまだ懐疑的。
一度は韓国勢に敗れながら、復活途上にあるテレビ最激戦市場、米国での再生の現場を取材し、ソニーテレビ事業の将来を占った。

■4Kで浮上

1月上旬、カリフォルニア州ロサンゼルス近郊の家電量販店、ベストバイ・ウエストピコ店に足を踏み入れると、電飾された「SONY」のきらびやかなロゴが目に飛び込んできた。
ソニーがベストバイと組んで全米350店強で展開するショップインショップ(店舗内店舗)「ソニーリテールエクスペリエンス」。ここが米テレビ事業反転の舞台だ。


 売り場には主力の4Kテレビ3台と2Kテレビ2台が壁一面に並ぶ。一番真ん中の4Kテレビでは、現行のスポーツ放送を4K相当に変換して見せている。
4Kと2Kを比べて見てもらい、4Kの画面はどれぐらいきれいになるかを実感してもらう仕掛けだ。

 「ソニーは4Kの画質に強みがあります。(米動画配信の)『ネットフリックス』などのコンテンツも豊富ですよ」。販売員(プロモーター)が売り場に来た客に熱心に説明していた。
家族で来店した男性(40)は「サムスン製プラズマから2000ドル(約24万円)のソニー製に買い替えたよ。値段ならサムスンだけど画質の良さはソニーかな」。
米国の年末商戦が口火を切るのが感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」。通常は週末で10台売れればいいほうだが、14年のブラックフライデーには、同店でソニーの4Kが110台も売れた。

 サムスン電子やLG電子など韓国勢に敗れた米国でのテレビ販売で活気が戻ったのはなぜか。
販売改革を指揮するソニー・エレクトロニクスの奥田利文副社長に尋ねると「現場を起点に販売活動を作り直すという原点に立ち戻った」という答えが返ってきた。