『追い出し部屋』は止めてほしい
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 相当以前の話で恐縮だが、私がソニーの芝浦工場に勤務していた時、親しくさせてもらった人で山田六一(仮名)さんという方がいた。
ソニーが東京通信工業という名前の頃から勤務されている方で私が知り合いになった時は課長待遇で社員教育を担当されていた。
 大病をされた関係で利き腕の右腕が不自由となり、左手一本で講義をされ、受講生からのレポートにも左手でコメントを書いておられた。
人間的にも大変素晴らしい方で私は尊敬していた。

 ソニーは今も苦しい経営を強いられているが、私が勤務していた当時も、業績が一時期ダウンしたことがあり、
オープンではなかったが管理職社員に退職勧奨がされたことがあった。

 そんなある日、山田さんが私のところに沈痛な顔付きで来て、「今井さん、私は今、大変悔しい思いをしてきた。聞いてくれる?」と言う。
「どうしたんですか?」と聞くと、山田さんは次のように言う。

「今、人事部次長のKさん(仮名)が話があるからというので行ってみると、Kさんが、『山田さん、今、あなたが会社に貢献できることは何ですか?』と聞く。
私はおかしなことを聞かれるなぁと一瞬思ったが、『自分が長年培った技術や知識を若い人達に伝えることです』と答えたら、
Kさんは『それ以上にあなたは会社に貢献できることがあります。それは一日も早くこの会社をお辞めになることです。あなたはこれ以上、会社で働いてもらわなくとも結構です』と言う。
こんな馬鹿な話はない。これまでどれだけ私が会社のために頑張ってきたかをまったく考慮してくれていない。
私は大変頭に来たので井深さん(当時の名誉会長)か、盛田(当時の会長)さんのところに文句を言いに行こうと思っている」と言う。
私は何といって慰めてよいか分からなかった。