――染矢さんは、ご自身の中絶経験が「ピルコン」設立のきっかけになったそうです。どんな経験でしたか。

私は、大学3年(20歳)のときに、妊娠・中絶を経験しました。
どんな経験だったか一言で説明することは難しいのですが、もちろんできればしたくない選択でした。
それまで私が避妊だと思っていた方法は、主にコンドームか膣外射精。
いわゆる「安全日」には避妊しないこともありました。
他に選択肢があるとも知らなかったし、
こうした避妊をしていて妊娠するのは100万人に1人くらいのものかな、という感覚。
まさか自分が妊娠するとは思ってもいませんでした。
ちょうど就職活動を始めようとする時期で、夢もこれからやりたいこともたくさんある、
という中で、子供を産み育てていくということは考えられなかったんです。

――心身共に辛い経験だったと察するのですが、当時のパートナーはどのように受け止めてくれたのでしょうか?

パートナーは、手術に付き添ってくれたり、車で送り迎えをしてくれたりしたものの、
手術当日の夜に性行為を求められて、愕然としました。
「尊厳が踏みにじられた」という感覚です。
このとき男の人の持つ暴力性というものを実感したという気がします。
普段優しかった彼ですらそういう性質をもっていたわけです。