結果、音楽そのものが置き去りにされたまま、自己言及的で閉鎖的な環境が構築されてしまったのが、この70年間の吹奏楽を取り巻く状況であると言える。
この状況は、外から見れば非常に極めて特殊であり、このカルト的空気感が煮詰まって、ついには性犯罪の温床にまで堕してしまっているのが、この10〜20年の傾向である。

では、どうすればいいか。

要約だけ記載する。
先ず何よりも優先すべきは、吹奏楽コンクールの廃止。コンクールが担ってきた教育的機能は、マーチングバンドに移譲する。
次に、中高の吹奏楽部の過半数は、オーケストラにコンバートする。現代日本ではそもそも吹奏楽という演奏形態はその存在意義を失っている。時代に合わせて変化し日本の音楽的土壌形成の一役を担ってもらいたい。
最後に何より肝要なのは、吹奏楽は、その演奏形態でしか実現し得ない音楽としての魅力を再考し、これを追求・深化させていく。

吹奏楽という文化を保存していきたいのであれば、これらが不可欠である。時間が掛かるだろうが避けることは不可能であり、いずれ必ずこういった潮流となっていくだろう。

世界を見渡すと、現代で吹奏楽が盛んなのは、中・韓と日本ぐらいである。ブラック部活の指摘もある。

先進国として、真面目に考えなければならない。まして、性犯罪を含む弊害が指摘されているのだからなおさらである。

吹奏楽界の自浄機能と前向きな発展への努力に期待したい。