「僕は中学・高校と男子校で、空手道部に入っていたんですが、新入部員のときには
 先輩からいろいろ可愛がっていただきました(笑)。彼から愛撫の仕方とか、
 いろんなことを教わりました。指と指の間とか股の内側など、普段隠れていて
 見えない「内側」の部分はすべて性感帯だよ、とか。手をつないでしまえば
 指の間を愛撫できるからもうこっちのもんだよ、とか。いったん血行と神経を
 集めておけば、触らなくても、手を近づけたり息を吹きかけたりするだけで
 めちゃくちゃ感じるよ、とか。それからその先輩に全身なめられて、
 「宮台君はアドレナリンの匂いがするね。感じてるよ。チンチン勃ってるじゃないか」
 とか言われたり……。ですから女の子との初体験は、その先輩にされたことを
 そのまんま彼女にするだけでしたので、非常にスムーズにいきました。
  中学時代の三年間、中央線でよく男の痴漢にあいました。触ってくるのが
 男でも、あの年代はすぐに変な気分になってチンチンが勃ちます(笑)。
 しかも男が男に触られてるんだと恥ずかしくて、女の子みたいに
 「この人痴漢です!」って言えないじゃないですか。だから触られ放題で、
 ずいぶん感じさせられました。
  それから中三のときに同じクラスにすごくキレイな顔した男の子がいて、
 授業中でもいつも彼のことばかりを見ていて、彼をこんなふうに愛撫すれば、
 こんな顔をするのかなあ、なんて妄想していました。
 (中略)
 女の子になることにも興味があって、小学校のときに女の子になった気分で
 空き地や女子トイレで座りションベンをしたり、いろいろしました。
 成人になって女装したときにもとてもワクワクしましたが、まだ今は、
 ドラッグクイーンになっていません(笑)。たぶん男として女を相手にしているだけで
 相当ヤヤコシイのに、さらに選択肢が増えるのが面倒なんですね。」

宮台真司『これが答えだ!新世紀を生きるための108問108答』朝日文庫 19〜20ページ。