零治が鮫島旅館から独立するとき、運転手の石神が言った
「私もあとからまいります」というセリフが
ずっと引っかかっていた。

ふと気づいた。
殉死の習慣があった時代に主が亡くなったときに
従者がいうセリフじゃないかと。
石神の言ったセリフはあとで会社に合流するという意味なのに
あとを追って自死するニュアンスが感じられて違和感が
あったもよう。

もしかしたら湯浅五助も大谷刑部の首を埋めるときに
「私もあとからまいります」
と言っていたのかもしれない。