【あらすじ】
1946(昭和21)年初夏、戦争が終わり、奥原なつ(9)はひとり、養父の柴田剛男に連れられ、北海道・十勝にやって来た。養女として、なつを引き取った酪農家族・柴田家は北陸からの開拓移民。
剛男となつの父とは戦友で、もしもの時は、お互いの家族の面倒を見るという約束をしていた。
剛男の義父・泰樹は、なつのことを働き手にもならない、厄介者と言いながらも内心、不ふ 憫びんに思っていた。しかし子どもながらに、ここで生きると覚悟を決めたなつは、牛馬の世話や乳搾りを懸命に手伝う。
こうした頑張りを泰樹とともに見ていた剛男の妻・富士子は、なつをこの家に迎えるように泰樹を説得する。やがて泰樹は、孤児だからといって甘やかしたりせず、生きる術すべをとことんたたき込んでいく。
なつもまた、天真らんまんな子どもらしさを取り戻していく。
小学校に通い始めたなつは、素敵な馬の絵を描く少年・山田天陽と出会う。天陽から当時、アメリカでブームになっていた漫画映画(アニメ映画)の魅力を教えられ、なつは絵が動く≠アんな夢のような世界があるのかと感動する。
やがて高校生になり、天陽が美術大学に進みたいという夢を語ると、なつも自分の将来について考えるようになる。なつもまた天陽の影響で、絵を描く仕事につきたいと思うようになっていた。
だが養父の剛男はなつが、一人息子と結婚して、牧場を継ぐことを望んでいた。
そんな折、生き別れていた兄が、東京で元気に働いていると知らされる。
なつに旅立ちの日が近づいていた……。