ドクターX シーズン6第1話

土俵上で力士が荒々しく相撲をとっている。とある地方巡業場所。湧き上がる歓声。
こども相撲なども終わり、巡業が行われたY市の市長が土俵上に上がると、挨拶を始めた。
「こども相撲なども…」と言いかけたその時、突然意識を失い仰向けに倒れこむ市長。
会場は騒然。慌てるだけで何も出来ず右往左往する相撲興行関係者達だけの土俵上。
そこへ突然長い脚に高いヒールを履いたミニスカート姿の女が、その男たちの間に割って入る。
(口笛のBGM)
「ジャマなんだよ!どきな!」と言いながら関係者達を突き飛ばした女は、市長の様子を見ると
すぐさま心臓マッサージを始めた。「お前ら何ボーっと突っ立ってんだよ。さっさと119番に
電話しな!」と叫びながらなおもマッサージを続ける。
その時だった。会場から「女が土俵に上がっていいのか〜?」の罵声に反応する若手行事が
「女性は土俵に上がらないでください!」と場内放送を始めた。マッサージをしながら
「人の命がかかってんだよ?黙ってな!」と一喝する女の迫力に会場は黙り込んだ。
その様子を客席で見ていた男性客が「あ〜!あれ大門先生じゃないですか?」「そんなバカな…
ええー!デ、デーモン!?」と仰天する。原と加地だ。
動かなかった市長から吐息が漏れ始めた。そこへ担架を持って現れる救命士達。市長を担架に乗せ
会場を立ち去る救命士達と一緒に土俵を後にする未知子。そこへ相撲関係者の巡業部長らしい
男が駆け寄り「女が土俵に上がってもらっちゃ困るんだよ」と話しかける。
「ならちゃんと医者を用意しときな!あんたも2階級降格させるよ!」といいながら後ろ姿で
手を振りその場を立ち去る未知子。それを罰が悪そうに見送るしか出来ない巡業部長。

〜ナレーション〜
2018年、崩れかけた白い巨塔は再びその権力を取り戻し、命のやり取りをする医療は本来あるべき姿を完全に見失った。
そんな中、どこの大学医局にも属さないフリーランス、すなわち一匹狼のドクターが現れた。
たとえばこの女。
群れを嫌い、権威を嫌い、束縛を嫌い、専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけが彼女の武器だ。
外科医・大門未知子、またの名をドクターX