貿易会社の知人に頼んでサンプルを米国に送ると反応は早く、
500ケース送ってくれと注文があった。
まだ手作業の段階だったが、1月半ほどかけて輸出用の商品を作った。
英文の商品説明書を、子供たちがホチキスで袋にとめていた。
国内で売れるメドも立っていない時期に、もう輸出が始まっていた。

6月には、大阪・梅田の阪急百貨店で試食販売をした。
私にとっては出陣式のようなものである。
小麦粉と食用油にまみれた作業着を脱いで、2年ぶりにスーツに着替えた。
泉大津で働いていた若者が何人か、手伝いにきてくれた。

大声で「お湯をかけて2分でできあがるラーメンです」
と言っても客は半信半疑である。
ラーメンの入ったどんぶりにお湯を注いでふたをする。
2分たってできあがったラーメンの上に刻みネギをあしらって出すと、
あっけに取られている。「あら、ほんまのラーメンや」。
その後は、集まってきた主婦が試食しては買っていく。
持参した500食は瞬く間になくなった。