とある日の配給時――
安子「(魚を切り分けながら)明るいところでみると本当に可愛いね」
陽子「(嬉しそうに)そんな〜」

丸山家に戻ると…
徳子「(ムッとしながら)やられたね。どう考えても少ない」
節子「やられたね」
徳子「陽子、あんたちゃんと分けるとこ見てなかったでしょう。『かわいいね』『はい、おまけしといたよ』とか言われて。岩本安子の鯖はうちのぶんだけ大きくなっている筈さ」

次の配給で…
安子「相変わらず可愛いね」
陽子「……(配給の秤をにらみつける)」
安子「え?」
陽子が安子を睨みながら咳をすると、観念した安子は本来の量を陽子に渡す。


世の中所詮、やるかやられるかというお話。そりゃ他人の子に自分のお乳を分けるなんて嫌だという母親もいるでしょう