●喫茶おもかげ

「帰ったら梟会の写真が破れてた。
清は鈴愛が破ったって言った」
「清さんが何て言ったか知らんけど、
どっちを信じるかは律の自由や」
「鈴愛を信じるよ」
「律…」
「鈴愛の言うとおりなんだと思う。
清は鈴愛に嫉妬をやいてるんだ」
「私だけやない。梟会にも。
清さんは律に自分の知らない時間がある事が嫌だって言ってた。
恋って怖いな。そんなになってしまうか…。
私には分からん。
でも清さんとケンカしてたら自分でも怖くなった」
「清に「律は私のものだ、返せっ」て言ったの?」
「言った…」
「それ、アウトっしょ」
「律は清さんのものか?」
「誰のものでもないよ。俺は俺だよ。
清のものでも鈴愛のものでも
俺を産んだ和子さんのものでもない」
「ここで和子おばちゃん出てくるか」
「厳密にはね。
でも鈴愛が律は私のものだって清に言ったら、
もう駄目だよ」
「…取られると思うと返せって言っとった。
いつも私は律の隣におった。
小学校のお誕生日会でも梟会でも教室でも…
律の隣は私の場所やった。
何であの子が律の部屋におる?
何で私、岐阜弁しゃべっとる…
標準語しゃべれるようになったし
漫画のためにもそうしろっていつも秋風先生に注意される。
これからは標準語でしゃべる」
「お前、俺を笑わせようとしてるの?」
「それはない」