財前:「余命はどれくらいと読む」
里見:「長くて3カ月だろう」
財前:「僕の診断と同じだよ。3カ月か。最高裁に上告しても判決を見届けるのは不可能だな。僕は負けた訳か」
里見:「うちの病院に来ないか。俺が担当させてもらう。君が望む治療を行う」
財前:「有難う里見、嬉しいよ。だが、それは無理な相談だな。大学病院の人間は大学病院の中でしか死ねないんだ」

里見:「財前、なぜ、諦めるんだ!!どんな時でも決して諦めず戦ってきた君じゃないか。自分が望む治療を自分で選ぶべきだろう」
財前:「どうしたんだ里見、死を前にした患者を相手に声を荒げたりして。いつも穏やかな君らしくないぞ」
里見:「君を助けたいんだ」
財前:「僕は助からんよ」
里見:「俺は君を助けたいんだ。それが無理ならせめて君の不安を受け止めたいんだ。俺が受け止めたいんだ」

財前:「里見、僕に不安はないよ。ただ」「すまん」「ただ……無念だ」