杉本八段:
「いまは楽をする手段が発達しているじゃないですか、携帯電話、パソコン、ネットで検索すれば、わからないことは出てきますよね。それだと全く自分のためになっていない、聡太少年は毎回自分で考えている節があった」

その弐は、「楽をせずに、自分で考え抜かせる」。

杉本八段:
「選んだ手は本(定石本)に書いてあるのと全く変わらないんですけれども、やはり自分で考えて見つけ出すことに大きな意味があるので、本で読んで知ってることと、自分で結論付けたものは全く自分に残るものが違いますから、そういう意味でそのあたりの学び方は、今にして思えば理想的だったなと」

そして…。

杉本八段:
「育てようと思わないほうが良い」

「育てようと思わないほうが良い」、この言葉に隠された深い意味とは。杉本師匠がそれを悟ったのが8年前、藤井二冠を弟子にと母親にお願いされた際のエピソードです。

杉本八段:
「地元のコメダ珈琲に行きましてお願いされたんですね。聡太少年は4年生でしたから、クリームソーダを頼んでいた。それをつついて沈めようとしていて、お母さんが注意しようとしていた時に、私が言いますからと。『藤井君これはあふれちゃうよと。まずは下のソーダを飲むか、上のクリームを食べてから沈めたほうが良いよ』と指導した覚えがありまして、場の空気をやわらげたかったんですね」

すると藤井少年は…。

杉本八段:
「ニコリともしなかったのを覚えています。(Q.それが最初の指導?)おそらくこの子はあまり指導することは多くないだろうとその時は思いましたし、草とか花とか光のある方に伸びますよね。もともと伸びたい方があってその光を遮らない方が大事なんじゃないかと思うんですね」

天才の育て方、その参は「なんでものびのびとやらせる」ことでした。

続いての質問は…。