「6月の休校明けに子供のけがが増えた」と打ち明けるのは、同府内の小学校教諭だ。教諭の勤務する学校では全校児童約350人のうち3、4人が、学校再開後1カ月の間に鬼ごっこ中に転ぶなどして骨折した。登校するだけで疲れたと訴える子が増え、走るタイムも遅くなっていた。

 臨時休校中に各家庭に出していた課題には家での体力づくりも含まれていたが、「外出を自粛する中で、運動もできなかったのかもしれない」と同教諭。体育の授業の前には準備運動を入念に行うなどの対策を取ったが、夏休みで再び体力が低下しないか心配している。

 ◇準備期間短く

 中高生にも同じ傾向があるという。兵庫県西宮市の「むこがわ整形外科・スポーツクリニック」に6月、女子中学生が来院した。休校中はもっぱらアニメを見て過ごしていたといい、久しぶりの登校日に学校まで片道徒歩約40分の通学路を往復した翌日、体中が痛くなったという。

 「休校期間中、一切運動せずに筋力や柔軟性が失われた子供の来院が増えています」と同クリニック院長で高知リハビリテーション専門職大学の相沢徹教授(スポーツ整形外科学)。スポーツのし過ぎでなるような筋肉の炎症が、ささいな運動で起こっているという。

 相沢教授がさらに懸念するのが、夏の部活動の試合だ。通常、中高生の部活では基本トレーニングなど3〜4カ月の準備期間を経て試合に臨むが、6月の休校明けからわずかな準備期間で大会が行われている。