そのようなリサーチを通じて、病院薬剤師はどのような職業だと感じましたか?

端的に言うと、"本当に傍で支えている人"という印象が強かったです。例えば、医者
はがん患者がいた場合、腫瘍を治す、小さくすることをメインに考えると思うんで
す。でも、薬剤師は、"人を見る仕事"。患者を診ながら、副作用や症状の緩和を考え
て薬を選んでいきます。調剤室も見学しましたが、誰も止まらずに常に手を動かして
いるんです。壁を一枚隔てて、こんなに忙しく動き回っているのは知られていませ
ん。見えないところで患者さんを支えている尊い仕事だなと感じました。

「誇り高く尊い薬のプロフェッショナルを描きたい」

病院薬剤師の方々は、自分の職業についてどのように向き合っているように感じら
れましたか?

やはり薬のプロフェッショナルだということです。医者の方々も『薬剤師はこれだけ
薬の知識を持っているんだ』と仰っていて、薬の知識に関しては、右にでるものは
いないと思います。加えて言うならば、その中でも専門分野がわかれていて、突き
詰めるほどに自分の知識が豊かになって、患者さんへの介入の仕方が変わっていき
ます。ですので、知的好奇心が強い方が多いんじゃないかと感じています。

主人公の葵みどりもそのような面がありますね。

「薬を渡すには、まず味を知らないと説明できない」というエピソードはまさにその
現れだと思います。