最後の砦、というのは薬剤師側としても嬉しいですよね。富野先生は現役の病院薬剤師でいらっしゃいますが、
このあたりいかがでしょう?漫画でも描かれていたように、薬剤師はAIで代替可能な職業と言われてしまうこと
もありますが…

富野浩充さん(以下 富野)
20世紀世代のピッキング専門の仕事だけであれば代替できるのではないでしょうか。けれど、薬剤師も、当時の
薬剤師1.0からはバージョンアップしていて、仕事内容が変化しているように感じています。

「1.0世代だけやっていれば良い」と思っている薬剤師は、今後淘汰されてしまう可能性があるかもしれないですね。
たしかに「ただ薬を詰めて出すだけの人」にはならないよう、薬剤師側にも努力が必要ですね。荒井さんは「薬剤師が
もっとこうだったらいいなぁ」と思われるようなことはありますか?

荒井
そういえば、ストーリーを作っていると「素人目にはできると思っていたのに禁止されていること」が結構あるな、
という印象がありますね。

最近では「病院側からは退院後のかかりつけ薬局を紹介できない」ということを知って驚きました。利益供与に
なるから、というのも理解はできるのですが、病院間では紹介状のやり取りも含め、患者さんを紹介しあってい
ますよね?病院同士はいいのに、病院と薬局だとダメなの?と少し疑問に感じました。

病院薬剤部と市中の薬局の話で言うと、7.8話(2巻)で描かれていた、主人公の葵みどりと、ドラックストア
薬剤師のやり取りが非常に印象に残っています。両者で意思の疎通が取れて、業務上も連携があることで、
患者さんにとってはプラスもあるかと思うのですが、実際は制度上や利益供与の問題もあって難しいですね。