【海のくに・日本】【日本鯨類研究所】【日本捕鯨協会(=共同船舶)】



2019.3.27 12:00
商業捕鯨再開のクジラ 食べておいしさ知って
https://www.sankei.com/premium/news/190327/prm1903270005-n1.html
クジラ料理のワークショップで、鯨種による味や食感の違いを知るため、味噌に漬けたクジラの本皮を試食する参加者(撮影・平沢裕子)
https://www.sankei.com/images/news/190327/prm1903270005-p2.jpg
クジラ料理のおいしさをもっと知ってもらおうと、女川町復幸祭でクジラ汁が提供された=24日、宮城県女川町(日本鯨類研究所提供)
https://www.sankei.com/images/news/190327/prm1903270005-p1.jpg

各地でクジラを食べるイベントが開かれている。
政府が昨年12月、国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退と今年7月からの商業捕鯨再開を表明したことで、再び食卓にのぼる可能性が出てきたからだ。
日本の伝統食だが、もはや食べ方を知らない人も少なくはない。「おいしさを知ってほしい」と関係者は呼びかけている。
(文化部 平沢裕子)

高タンパク・低カロリー
「おいしい!」
「懐かしい味。これが食べたかったのよね」
3月14日に東京都内で開かれた「クジラ料理のワークショップ」。
竜田揚げやクジラ汁、クジラ飯など家庭で食べるクジラの定番料理が振る舞われ、参加者たちからは歓声があがった。
主催したNPO法人「海のくに・日本」理事長の白石ユリ子さん(85)は
「クジラは高タンパク・低カロリーの理想的な食肉。日本人は大昔からクジラを食べており、祖先から受け継がれてきた食文化を大切にすることは、私たちの健康な人生を守ることにもつながる。
クジラ料理を食べ続けるためにも、多くの人にクジラのおいしさを知ってもらいたかった」と話す。
宮城県女川町(おながわちょう)でも24日、東日本大震災からの復興を目的に開催した「女川町復幸祭」で、日本捕鯨協会がクジラ汁約800食をふるまった。
かつて捕鯨が盛んだった同町では、刺し身や竜田揚げとして使うことが多い赤身がよく食べられ、平成7(1995)年からは学校給食で年1回、竜田揚げなどのクジラ料理が提供されている。
だが、クジラ汁はクジラの皮を使う料理のため、年配者でも食べたことのない人が多かったという。
同協会事務局は「クジラ汁は、皮を食べる食文化のある函館や新潟でよく食べられていた料理。女川町ではなじみがないが、クジラにはいろいろな料理があることを知ってもらいたかった」と説明する。

縄文時代から
四方を海に囲まれた日本では、クジラは古来よりさまざまに利用されてきた。
同協会によると、縄文時代にはすでに食用のほか、骨などが土器の製造台に用いられていたことが分かっている。
江戸時代中期以降は、庶民の食べ物として広く普及。
敗戦後の食糧難の時代には、貴重なタンパク源として欠かせない食材となり、学校給食のメニューにも度々登場した。
1人当たりの食肉供給量でも、昭和37年まではクジラが、牛、豚、鶏を上回っていた。
しかし、IWCが商業捕鯨を禁止した昭和57年以降は、流通量が激減。
今では食べたことがない人も珍しくない。

臭み出さない
7月に再開する商業捕鯨では、ミンククジラやツチクジラ、イワシクジラなどの漁が見込まれている。
かつてのように日本の食卓にのぼる可能性が出てきたクジラだが、食べ慣れない人がおいしく食べるために、調理の際に臭みを出さない工夫が必要だ。
唐揚げや竜田揚げは、下味をしっかり付け170度前後の油で温度が下がらないように揚げる、本皮は軽く下ゆですることで、臭みを軽減できる。
「海のくに・日本」の栄養士、佐伯理華さんは「クジラ料理といっても、鯨種や部位によって味や食感が違う。いろいろな調理法を試して、自分なりのおいしい食べ方をみつけてもらいたい」と話している。