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鯨料理の有名店「徳家」が閉店 おかみの大西さん「一定の役割は果たした」 大阪
https://mainichi.jp/articles/20190524/k00/00m/040/053000c
守ってきた鯨料理について語る大西睦子さん=大阪市中央区で2019年5月22日、加古信志撮影

毎日新聞2019年5月24日 10時34分
半世紀にわたり市民に親しまれた大阪市中央区千日前1の鯨料理店「徳家(とくや)」が25日、閉店する。
日本の国際捕鯨委員会(IWC)脱退で約30年ぶりの商業捕鯨再開が決まり、鯨食文化の継承に尽力してきたおかみの大西睦子さん(76)は「一定の役割は果たした」と幕引きを決めた。
創業は1967年。
当時、鯨肉は安く、家庭料理の定番だった。
甘辛い味つけが一般的だった中、酒のつまみに合うように薄味スープの名物「ハリハリ鍋」を考案。
毎朝買いつけに通った市場では、霜降りの多い「尾の身」にこだわった。
口コミで人気が広まり、座席数は創業時の約20席から約80席に増えた。
しかし、IWCは82年、捕鯨の一時停止(モラトリアム)を決定。
1人前400円だったハリハリ鍋も徐々に値上げせざるを得なくなった。
「日本の鯨文化を後世に残すためにも、商業捕鯨再開は与えられた使命」と考えた大西さんは、IWCの会議にオブザーバーとして10回以上参加し、鯨食の魅力や捕鯨の必要性を訴えた。
昨年12月、日本はIWC脱退を通告。
7月から商業捕鯨が再開される。
「寝耳に水で驚いたが、ようやく文化を継承することができる」。
「くじら」の「9」に掛けた毎月9日、近くの寺で鯨供養を続けてきた。
最後となった今月9日は「本当にありがとうございました」とこうべを垂れた。
「鯨肉が家庭の食卓に並ぶ日が楽しみ」とさっぱりとした笑顔で語った。
最終日の25日はなじみの客らの予約で満席という。
【隈元悠太】