>水仙の花は春に咲いて、菊の花は秋に咲くのをドラマ中のあのやんごとなきお方達はご存じないのかな?
大河ドラマの内容は存じませんが、菊花は重陽の節句がありますし、嵯峨天皇
も愛好された花で、和歌・漢詩にもよく詠まれましたので、知らない筈はない
ものですよ。

九月九日に菊酒を飲むことは、平安貴族に引用された梁の『続斎諧記』逸文に
漢の費長房の災厄を避けよという指示に従い、一家で登山して菊酒を飲んでい
たところ、家の鶏狗羊は皆死んでいたが、人は難を逃れたという故事に由来す
るとあり、伝説上では漢代に始まったとされています。
『荊楚歳時記』も、漢代に始まって今に至るまで改めずとしている。
周代に始まるとするのは、室町時代に我が国で出来た俗説らしい。

『枕草子』「草の花は」には、菊や撫子や竜胆や朝顔や菖蒲はあっても水仙
はなく、家にありたき花で一項目を立てた『徒然草』も同様です。
兼好の場合、薔薇・蘭などの唐好みの花はあえて除いていたようですが。
水仙自体は、大河ドラマの時代ならまだ珍しかったでしょう。
ちょうどこの頃の宋の絵画に影響を与えていた趙昌は、水仙・薔薇・牡丹な
どを共に描いていますが、梅以外は日本では後になるまで好まれなかったよ
うですね。
趙昌や銭選の花鳥画の輸入が盛んになるのは、室町期以降です。