>>41 のつづき
 キリスト教徒やヤジディ教徒を含め、イラクの宗教的少数者たちの多くは同国北部に住んでいる。
 イラクのキリスト教徒で最も人口が多い集団を構成しているアッシリア人のキリスト教徒は、
 自らの言語を話し、自らをアラブ人であるとは必ずしもみなさないと、この報告書は説明している。
 その結果、彼らは自らのことを独自の民族集団とみなしており、他の人たちからもそのようにみなされている。

 ヤジディ教徒は主にクルド語を話し、イラクやイラクのクルド人地域に故郷がある。
 2003年以来、ヤジディ教徒の故郷であるシンジャールの多くはクルド人地域政府の支配下におかれてきているが、公式にはイラクの中央政府の支配権の下にあり続けている。

 多くのヤジディ教徒たちは自らをクルド人とみなす気があるものの、
 彼らは自らを独特の民族集団とみなしているのだが、彼らはISの下で混乱に直面しており、それより前にでさえ、
 「完全に正当化が不可能なほど、悪魔崇拝者であるとして非難されている」という。

 ヨウクハナ神父は、イラクのキリスト教指導者たちが、2016年11月現在で、
 同国に残っているキリスト教徒の数は25万人未満であると推計していることを繰り返し述べた。

 WCCとNCAの報告書にある推計によると、2003年以来、イラクのキリスト教徒の約70パーセントが同国を離れており、残っている人たちのほとんどは国内避難民だという。

 ヨウクハナ神父は、自らが撮ったキリスト教徒の地域における被害の写真を見せ、
 残念ながら、イラク国軍の軍人たちによって壁に宗派のメッセージが塗られてしまっていたと語った。

 同神父は、それらの壁には「ドイツ人の聖戦主義者たちによって塗られた」
 というドイツ語のメッセージが吹き付けられていたことにも言及した。

 「軍の作戦が始まったことを喜ぶと同時に、私たちは勝者がこの地域の人口を変えようと試みないことを望んでいます」とヨウクハナ神父は語った。
 「(以前と同じように)キリスト教徒の人口を取り戻すことはできないかもしれませんが、
 でもキリスト教の価値を取り戻してこの地に価値を付加することはできます」