「教育困難大学」がPR活動に躍起になる事情
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170825-00185503-toyo-bus_all

 「なんで、教員がオープンキャンパスの度に、『客引き』まがいの行動を要求されなくてはいけないんだ?」
 これは、筆者がよく知る大学教員の嘆きである。彼が所属する大学は、やはり、
いわゆる偏差値が低い「教育困難大学」だ。


 しかし、学生が集まらず資金に余裕がない大学は、新聞やテレビなどに広告を打つことができない。
そもそも知名度がないのだから、インターネット上に広告を出しても、よほど人目を引く内容でなければ
クリックしてもらうことも難しいだろう。

 そこで、日ごろ大学教職員が高校を一校一校回り、生徒にオープンキャンパスに来てもらえるように
お願いする広報活動を地道に続ける。この活動を「昔ながらのどぶ板営業」と自嘲ぎみに語る大学教員もいる。

 このオープンキャンパスのために、常勤教職員のほぼ全員が出勤させられる。有償ボランティアで
集められた学生は、まじめで印象のいい学生が事前に選別されている。彼らは大学側が用意した、
そろいのTシャツを着用して待ち構える。参加者に配る資料も記念品も、準備万端、
整っている状態で「お客様」である高校生を迎える。

 しかし、参加者は事前の予想どおり少ない。高校生と一緒に来た保護者も合わせて毎回30名から50名といったところである。
ラフな服装の保護者が多く、中には乳飲み子や幼児を一緒に連れてきている人もいる。
全体説明の会場となったホールは空席が目立つ。午後には模擬授業や施設見学があるが、
参加しようとする人はほとんどいない。そこで、出口に向かう参加者を担当教職員が、
まるで客引きのように腕をつかまんばかりに必死に引きとめる。これが、冒頭の教員の嘆きの原因だ。