西暦1989年、日本で昭和天皇が死に、平成への改元があった。
その時、天皇が「満願成就」を平成の目標に掲げたため、日本政府は当時の日本人全員の願いごとを調べた。

ぼくはその時、十二歳だったが、ひねくれものだったぼくは、天皇への嫌がらせで「天皇になりたい」と書いた。
その後、ぼくを天皇にしてなるものかと地元の公務員や宮内庁や教師たちが中心となって、ぼくを四十歳までいじめ殺した。
ただの嫌がらせを偉い人に書くと、子供でも一生、奴隷のようにされる。
何が平等だ、何が平成だとぼくはいきどおったが、人生つらい。

そして、「天皇になりたい」と書いた日本男児は数十人おり、そのうちただ一人、ものすごく変わった男がいた。
高校生である。地元と遠く離れていたので、よく知らないが、その男と厄年のふりまきの時にあった。
二十六歳であった。
その男は願いごとに「天皇に挑戦状を申し込む。おれを天皇にしろ。それでなければ、おれが日本を天皇より幸せにしてみせる」と書いた。
その男は、一生をかけて、高校の時、平成の改元の時から日本を幸せにしようとがんばっていた。

だけど、確かに文章は格好いいけど、ぼくも一生ずっと日本を幸せにしようとがんばっていたよ。
天皇なんかになりたいと思ったことはぼくは一度もなくて、本当に小学生の時の嫌がらせだったんだ、天皇に対する。
その「挑戦状の男」は、「嫌がらせ」じゃだめだ。といってたけど、おれたち、「天皇になりたい」と願いごとを書いた男たち数十人は一生、日本国家全体を敵にまわして戦いつづけなければならなかった。