パイロット『火災探知機が作動したので、緊急着陸を要請。』
日本航空『着陸後、確認したところ、火災の形跡はなかった。火災探知機の誤作動と考えられる。』

日本航空の決まり文句であるこの表現は、ミスリードを引き起こす表現であり、虚偽の表現の可能性も含まれる。
航空業界(日本航空)でいう『火災』と社会通念上でいう『火災』は違った意味で使われる。

@航空業界(日本航空)では、燃料漏れ、オイル漏れに引火した火炎(かえん)の発生 → 『火災(エンジン火災)』
A航空業界(日本航空)では、燃料漏れ、オイル漏れがなかった場合の火炎(かえん)の発生 → 『異常燃焼』
B社会通念上では、@、A両方とも含めて、火炎の発生による災害 → 『火災』

この違いを、ふまえますと
『火災の形跡はなかった。』を正確に言うと → 『燃料漏れ、オイル漏れに引火した形跡はなかった。』となる。
一般向けに公表するのに『火災の形跡はなかった。』と公言することにより、いかにも、Bの社会通念上の『火災』が
なかったと一般人にミスリードさせ、インシデントを過小に思わせる効果がある。

『火災探知機の誤作動と考えられる。』この報告は、間違いといっていいだろう。
火災探知機は『火炎の発生』に対して、作動するものであり、
燃料漏れ、オイル漏れの引火からくる『火炎の発生』であるか、
異常燃焼からくる『火炎の発生』であるかは識別できない。
つまり、火災探知機はBの社会通念上の『火災』に対して発動するものである。
着陸後の確認作業ではBの社会通念上の『火災』を否定する事まではできないのである。
『火災探知機の誤作動』という発言は、根拠のないものであるといえる。

日本航空の発言を社会通念上の表現で修正しますと、

『着陸後、確認したところ、火災の形跡はなかった。火災探知機の誤作動と考えられる。』

↓  修正  ↓

『着陸後、確認したところ、火災はあったが、燃料漏れ、オイル漏れに引火した形跡はなかった。』

となるであろう。