また、海流と気候の関係からも、北方ルートはありえません。なぜなら、従来長江からのルートとして考えられてきた、

山東半島及び朝鮮半島西側は、西の黄河や北の遼河から流れ込む寒流の影響で、寒冷乾燥の土地となっており、水田稲作には適さないところであるからです。

逆に、九州は南からの暖流の影響で、温暖湿潤な気候となっており、水田稲作に適しています。

よって、長江下流域(温暖・湿潤)→山東半島(寒冷・乾燥)→朝鮮半島西側(寒冷・乾燥)→九州(温暖・湿潤)といったわざわざ不適な箇所を時間をかけて通るルートは考えられず、長江下流域(温暖・湿潤)→九州(温暖・湿潤)→朝鮮半島南部ではないかと考えられます。 

そして、このことは、従来、稲作の伝播と同時に語られる「支石墓」の伝達ルートからも見て取れます。