復讐に取り憑かれたブラックパンサーが敵を許し真の王に成長していくという物語は初代のブラックパンサー(シビルウォー)でもやっており、ハーブを飲んだあとの夢の中でキルモンガーを再登場させてまで、ブラックパンサーがヒーローとしてのルーツを確立するまでの同じ話(復讐する気持ちを抑える話)を繰り返さなくてもなあ…と思ってあまりのれないまま観終えてしまった。繰り返す割には前回よりそこに割く時間も描写も不足しているように感じる。前半は女王の描写が長い分後半は女王や国の物語ではなくシュリ個人のドラマになっていくのもうーん…という感じ。


また、前作では「他の世界では仲間たち(黒人たち)が強いたげられているのにワカンダはどうしてなにもしないんだ!」というキルモンガー等の怒りを汲んだティ・チャラ王が、最後はワカンダ国の情報を公開し世界に協力するという広がりを見せる終わりかたで、その広がりかたが黒人のヒーローという存在の広がり方とリンクしてとても面白かったのだけど、今回の映画の結論は海底の国の秘密はそのまま、他の国とも特に仲良くしていくようなそぶりは見せないというもので、前作に比べてとても閉鎖的だなあと感じる。同じ話をなぞっている割にとてもパワーダウンしているなあと思ってしまったな。


話の根幹部分がのれなかったので、脚本の細かい粗(ヴィブラニウムに生えた草を飲んだらエラ呼吸するようになったって何?とか、槍で刺したら再生した件はどうなったの?とか、ロスの助け方それでよかったの?余計遺恨を残さない?とか、ロープみたいなの使って車とバイクを止めたのになんで槍での接近戦ばっかりやってるの?とか、リリがワカンダのためにアイアンハートとして戦うのは理解早すぎじゃない?とか、ヴィブラニウム発見器いくらなんでもそんなつぎはぎ機械でやれるならさすがにリリじゃなくても作れるんじゃない?等々、正直脚本の粗はかなり多いと思う)もあまり飲み込めなくて、最後まで心動かなかったな正直…前作はキルモンガーのドラマにも相当肩入れしたのに…